地球儀( ちきゅうぎ ) といえば、子どもの頃、教室に置いてある地球儀をくるくると回し、指が止まった場所に行ってみたいな ! とか、その国はどんな場所だろう ? などと、海の向こうへの憧れをふくらませていたことを思い出します。

大人になった今では、地球儀を回す機会こそ少なくなりましたが、アンティークショップで見かけるセピア色の地球儀や、映画やドラマに出てくる部屋にデコレーションされた地球儀は、インテリアとしても素敵なものだとかんじます。

そんなロマンを与える地球儀。現在、ハンドメイドで地球儀を作る会社は、実は全世界でたった 2 社だそうです。その中でも、手書きの地図と全て職人の手仕事で、こだわりの地球儀を仕上げているのは、イギリス・ロンドンに作業場を持つ、 Bellerby & Co( ベラビイ・アンド・コウ ) 一社だけとなっています。

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ハンドメイドの地球儀をつくることになったきっかけ

2008年に設立された、 Bellerby & Co( ベラビイ・アンド・コウ )社。きっかけは創始者のピート・ベラビイ氏が、父の80歳の誕生日に、地球儀をプレゼントしようと考えたことでした。理想の地球儀を手に入れるため、アンティークショップを巡りましたが、アンティークの地球儀は美しいものの、もろく壊れやすく、とても毎日回して楽しめる状態のものは、そうそう見つかりませんでした。

そこで、 「 それなら、自分で作ってしまおう !  」 と思いついたのが、地球儀製作の第一歩となったそうです。

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自ら父の地球儀をつくろうと奮闘したことから、地球儀づくりの難しさや、コストの高額さを思い知った創始者のピートさんは、地図会社からのライセンス取得を回避するため、自ら地図の原本をイラストレーターで作成し、プロの友人に仕上げ加工を依頼しました。

地図の作成から約1年の準備期間を経て、ようやく次のステップである球体の製作がはじまりましたが、それはミリ単位への調整が幾度とつづく過酷なものだったそうです。

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そうした皆の努力が実り、続々と手作業にこだわった地球儀が完成しました。2012年には、ハリウッド映画会社から、撮影セットのための地球儀製作依頼が入り、映画のヒット後、Bellerby & Co( ベラビイ・アンド・コウ )社は、より多くの人たちへと認知度を高めます。

そのことについてピートさんは、「 ハリウッドからのオファーも嬉しいことでしたが、世界中の人たちに私たちのつくった地球儀のことを、より多く知ってもらえたことが誇りです。 」 と、述べています。 (  Bellerby & Co about 参照 )

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現在、作業場は少人数のチームで運営され、それぞれが地図の作成から色付け、仕上げなどを担当しています。その現場の作業姿が、地球儀にも負けないくらい美しいと、世界各国のメディアがロンドンの小さなアトリエに注目しています。

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▼ こちらの動画は、 Bellerby & Co( ベラビイ・アンド・コウ )の作業場での1日を追ったショート・フィルム。

実は、大量生産される地球儀には、スペルミスや位置、経線緯線に貼り付け時にできた、微妙なズレも多く見受けられるそうです。しかし、Bellerby & Co( ベラビイ・アンド・コウ )社がつくる地球儀は、限りなく正確さにこだわりを持ち作られています。

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一般的な地球儀( ちきゅうぎ )の作り方は、まず平面上に世界地図を描き、次に描かれた世界地図を細長い紡錘形( ぼうすいけい )にカットします( このパーツをゴアと言います )。

ゴアを球体に貼り付けた後、ゆがみを修正するため、北極・南極それぞれに円形の地図を貼り、マチ( 襠 )の数を多くする( 細かく分ける )ほど、極地方を引き伸ばす率が低くなり、地球儀の正確さが高まるそうです。

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この作業工程の中でも、Bellerby & Co( ベラビイ・アンド・コウ )社が特に力を入れている、オリジナル地図やゴアの作成は、何度もやり直しが繰り返される忍耐力のいるパート。長い時で数ヶ月もの時間が費やされるそうです。

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球体に地図の紙を貼った後は、細かいイラストや地名などが、筆を使い丁寧に仕上げられていきます。

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さらに陸地の周りや海の影など、よりクオリティーを高める効果も、手作業で進められています。

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ここまで来ると、この地球儀がもはやただの地球儀でなく、ひとつの芸術作品であることがわかりますね。

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Bellerby & Co( ベラビイ・アンド・コウ )社のつくる地球儀( ちきゅうぎ )は、小さなものでも1ヶ月、大きなものだと半年もの製作期間を要するそうです。

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大昔の地球儀づくりの現場にタイムトリップしたかのような、ノスタルジックな作業姿。これこそが、世界でたったひとつのハンドメイド地球儀をつくる現場なのだと確信させられます。

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軸のパーツが付けられ作業も終盤に。あのツルツルっとした釉薬( うわぐすり )が塗られていきます。

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こうしてできた地球儀は、小さいものでも20万円近い値段で世に出されるそうです。しかし、この作業工程の細かさを見ると、価格に納得させられます。

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一点、一点職人によって作られた高級地球儀。まさに夢とロマンがつまったアート作品です。

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はじめこの地球儀を見た時は、ロンドンの老舗の会社が作っているんだろうなと思っていました。しかし、2008年創立の会社だということに衝撃を受けました。世界でたったひとつのハンドメイド地球儀会社。これからの後世にもつなげてもらいたい、貴重な手仕事の現場ですね !

 

 

参照元 : The Only Company that Makes Handcrafted and Handpainted Globes with Contemporary Cartography is in London, UK – Design ruiz