古くからイーラーショシュ( トランシルヴァニア / 現在のルーマニア にあるカロタセグ地方の村々で、古くから受け継がれてきた伝統の刺しゅう。)など、繊細な手仕事を得意としてきた、ルーマニアの女性たち。

ルーマニア北部の村、サトゥ・マーレ 出身の Silvia Junjan ( シルビア・ジュンジャン) さんも、手先が起用で編み物を得意とした祖母・母に育てられた、アーティストのひとりです。

彼女がつくるのは、祖母から教わった手編みの技術を活かした、レースの家具コレクションです。繊細でエレガントなレースの椅子やテーブルは、光を通すと華麗な影が写る、なんとも美しい作品で、どうやって作られているか不思議な気持ちになります。

designrulz-Silvia-Junjan-1(2)

幼い頃からクラフトレースの技術を、母や祖母の近くで学んできたというシルビアさん。そして、いつしかこの美しいレース編みで、新しい時代のニーズに合うものができないかと考えるようになったそうです。

designrulz-Silvia-Junjan-2

細かな作業の工程は公開されていませんが、小さなレースのパーツを編んでいき、その後にエポキシ樹脂を使い固めているようです。

designrulz-Silvia-Junjan-5

レース編みのため、家具は軽いのが特徴。しかも、男性の大人が座っても壊れることがない ! 見ためとは裏腹に、その頑丈さも魅力的です。

627x0

レース家具の製作には小さいもので2週間、椅子とテーブルのセットに一年を要するときもあり、その過程は、実に細かく繊細なものだということが伺えます。

また、妥協をゆるさないシルビアさんは、以前のインタビューで、作品を依頼されても、必ずこの日までにできるとは伝えれないと答えています。

designrulz-Silvia-Junjan-4

レース家具のパーツを作りはじめたのは約20年も前 !? 

彼女がレース家具を作るきっかけは、一夜にして突然はじまったものではありません。ある日、オランダ人デザイナーのMarcel Wanders 氏が手がけた、編み物でできた家具を見た時に、衝撃的なインスピレーションを得たそうです。

designrulz-Silvia-Junjan-9

しかし、アイディアを実現するには相当な時間を要しました。海外で数年間、材料費を稼ぐために働き、その後たった一人で、どうやったらレースを家具にできるのかを探求しつづけたそうです。家で使われていなかった家具をベースに使い、試行錯誤を重ねました。

一番のターニングポイントは、レース家具を固める際のレジン( 樹皮 )液だったそうです。レジンは熱ににあてると収縮をする習性があり、それが家具作りへの成功を導きました。

image

1995 年に2人の娘と旦那と共に、このレース家具をビジネスとして実現すべく動きだしました。美大を卒業された2人の娘さんと共に、家業としてこのレース家具づくりを本格的にスタート。家族がいつもサポートしてくれるのが、一番の支えだそうです。

designrulz-Silvia-Junjan-13

ひたすらかぎ針でレースのパーツを編み、それがひとつの素晴らしい家具へと変貌を遂げました。なんとはじめにパーツを作り始めたのは、約20年前にもさかのぼるということです !

designrulz-Silvia-Junjan-1(2)

ハンドメイドで何かを作り続けること、それは芸術家と同じく、忍耐との勝負ではないでしょうか ? それから、シルビアさんの場合を見ても、家族と周囲からのサポートがとても重大だと伺えます。

今後は、彼女と同じように、長年編み物に長けてきた50代の女性たちを一人でも多く、このレースを使ったインテリアの製作に携われるように挑戦していきたいと考えているそう。レース編みという伝統工芸を、現代のインテリアデザインに発展させた、彼女のプロダクトとビジネスに、今後も目が離せません。

 

 

参照元 : Authentic Lace Furniture by S. J. ArtDesign, Romania – Design rulz , Romanian newspaper Adevarul