2016 年6月24日~26日、アメリカのロサンゼルスコンベンションセンターで行われたデザイン・トレードショー、Dwell on Design 2016 ( ドウェル オン デザイン )へいってきました。
Dwell on Design Los Angels ( ドゥエル オン デザイン ロサンゼルス )こと、通称 DODLA は、モダンな建築・デザインをテーマにした、アメリカの人気デザイン雑誌 『 dwell ( ドウェル ) 』 が、毎年ロサンゼルスで開催するイベント。
dwell ( ドウェル )の編集者たちが用意したプログラムには、世界を舞台に活躍する建築家、藤本壮介( Fujimoto Sou )氏をはじめとした、デザイン業界のプロフェッショナルたちのスピーチや、最新の家具システムのデモンストレーションなど、革新的な内容がプログラムされています。

雑誌そのもののデザイン性も高く、そこにあるだけでインテリアになってしまいます。
年間購読、19.95 ドル という、格安や購読料にも関わらず、上質な内容を届けてくれる、dwell ( ドウェル )マガジン。日本ではあまり知られていませんが、アメリカではウェブコンテンツと共に、かなり人気の高いデザイン系雑誌です。
コンベンションセンターの大きなエントランスホールには、雑誌のロゴをかたどった、dwell の大きなモニュメントが飾られていました。
モニュメント前で写真撮影をしている人を横目に、カウンターで入場用バッジをゲット。
いざ、中へと出発です !
#DODLA
入口を入ってすぐ目に入ったのは、主催の雑誌 dwell のブース。ここでは、4つのセクションに分かれており、来場者がお気に入りのセットをバックに、写真撮影ができるというサービスが提供されていました。撮ってもらったポラロイド風の写真は持ち帰り、みんな即座にインスタグラムにアップ ! ≫ DODLA のインスタグラムは、こちらのハッシュタグから → #dodla 、 #dwellhere ( instagram )
キッチンデザインのSignature Kitchen Suite のブース前では、NY在住のイラストレーター、ドナルド・ロバートソン氏によるライブペインティングが行われ、会場を華やかに演出。夕方には、カップケーキとシャンパンが配られたりと、にぎわいを見せていました。
グリーンをふんだんに使ったアウトドアスペースを中心に、さまざまな企業の展示ブースが配置された会場内。
ちょうどお昼時にイートインスペースとして、関係者や来場者が使っていたテーブルや椅子は、ロサンゼルスがベースの家具ブランド、RAD が手がけたもの。スチールにパウダーコーティングをほどこした椅子やテーブルは、軽量なのにどっしりとした使いやすさで、屋外にとどまらず、オフィスやショップでも活躍しそうなミニマルなデザインが魅力的です。
ストリートカルチャー× 家具、LA らしいファニチャーブランド 『 RAD 』。
併設された RAD の展示ブースには、キャップや T シャツなどのオリジナルのアパレルや、メタル加工の技術を使い製作された、スケートボード用デッキ( 板 )なども展示されていました。
写真手前のスケートボード用デッキは、ブラス( 真鍮 )加工を施しており、後ろのブラックの板はパウダーコーティングでマットに仕上げられています。
ちなみに、ロスにある RADのアトリエでは、メタル技術を学ぶための、スケートボード用デッキやミニテーブルづくりが体験できる、ワークショップも受付中。
ワークショップの詳しいインフォメーションは、こちらから。
1713 East 58th Place #A
Los Angeles, CA 90001
orders@radfurniture.com
213 505 3036
#TinyHouse
アウトドアスペース周辺では、今世界的な建築デザイン・トレンドとなっている、プレハブビルディングのさまざまなモデルが目を引きました。
今年の10月15日に、カリフォルニアのカサムニーズ・カレッジ( 大学 )で開催予定だという、The Tiny House Competition ( ザ・タイニーハウス・コンペティション)は、 シンプルに住むことを目的とした、The Tine House ( 小さな家 )のためのアイディアを競い合うコンペティション。
コンペティションを告知するブース内では、オレゴン州のSAL HAUS DESIGN が手がけたプレハブハウス、SOL POD の展示が行われ、イベント中は行列が途切れることなくつづいていました。プレハブハウス内では、ファウンダーの Vina Lustado さんが、ひとりひとりの来場者に対応しており、室内の構造などを丁寧に説明しています。

小柄な身体に秘めたバイタリティーを持つ、Vinaさんのキャラクターが、そのままモバイルハウスのデザインに反映されています。
以前、建築デザインメディア Freshome の記事で、Vina さんと SOL HAUS の存在を知っていた記者は、彼女と実物のモバイルハウスとの対面にやや興奮気味。
ゆっくりになるタイミングを見計らって、ちょっとだけ、お話を聞かせてもらいました。
想像通りのやわらかい雰囲気の Vina さん。日本のモダンでシンプルな建築デザインや、北欧のシンプルなライフスタイルが、デザインのスピリットになっているそうで、中でも、全米第一位のベストセラーとなった、 「人生がときめく片付けの魔法( 米題:The Life-Changing Magic of Tidying Up ) 」 の著者である、近藤麻理恵( こんまり )さんの本が、お気に入りだとおっしゃっていました。
機能と工夫でいっぱい ! 住み心地の良いモバイルハウス
タイニーハウスの中は天井が高く、思った以上に広く感じる空間。
イメージは森の中にある小さな家という感じで、大きな窓からは、きっと青々とした木々を見ることができるんだろうなぁ~と、想像力をかきたてられます。
Vina さんによると、オフィスとしての利用などにも最適で、このモデルハウスにも、広いワークスペースが設けられていました。さらに、床下の引き出しを引くと、そこには簡易のベッドスペースが現れます。
さまざまな仕掛けと、工夫でいっぱいのモバイルハウスの実態に、ただただ愕然としたのでした。
≫ SAL HAUS DESIGN
≫ vina’s tiny house
#Made in Japan
会場では、日本ブランドの出展も目立ちました。今回、初の北米進出を果たしたという、BUNBUKU ( ぶんぶく )さんのブースにもお邪魔しました。100年近くつづく老舗の BUNBUKU ( ぶんぶく )は、業務用ごみ箱や傘立てなどのインテリアを中心に手がける会社( 本社:東京 )です。
当日、配布されていたカタログも、カリフォルニアを感じるイメージがとてもおしゃれ。
北米初進出 ! BUNBUKU ( ぶんぶく )
ロサンゼルスが北米進出のスタート地点。
2015年にグッドデザイン・ロングライフデザイン賞を受賞したという、こちらの 『 テーパーバケット 』 は、発売以来およそ60年もの間、変わらぬデザインで製作されている金属製のゴミ箱だそうです。その特徴である剥げにくい塗装は、工場のある福島の職人さんたちが、長く大切に使ってもらえるようにと、一点づつ手作業で仕上げています。
高度経済成長期に合わせて、スチール製家具が普及した、昭和当時から変わらないグレーカラーは、日本独特のインダストリアル感でいっぱい。思えば一般的に会社にある、あのグレーの机や椅子って、日本特有の色なのですね !
ブースの中で、ちょっと気になる器具を発見。こちらは、BUNBUKU ( ぶんぶく )社長が、足の疲れをとるために開発したものだそう。板の上に立ってみると、アキレスけんがのびる、のびる ! とても、気持ちよかったなぁ~ ! ( こちらの器具は楽天市場のショップで購入が可能 )
日本のロングライフデザインが、海外でも日常的なインテリアとして親しまれていくこと、これから楽しみですね。
別のセクションでは、デザイナーでテレビ番組のホストなども務める、Jamie Durie 氏とB +N Industries がコラボしたパネルの前に、サイクルアーティスト谷さんの自転車が、どーんっと展開されていました。
東日本大震災直後は、道路の舗装もまだ済んでおらず、車で灯油を運ぶのが困難な地域に住む人たちのために、灯油タンクが積める自転車を特別に製作したそうです。この自転車は、まさにその一台。まるで、蓮の花をイメージしたパネルと、絶妙にマッチしています 。
≫ プロダクトデザイナー : 谷信雪 ( サイクルアーティスト )
HASAMI PORCELAIN – 「 もしかして、波佐見焼き !? 」
これって日本の波佐見焼きですか ? と話しかけると、案の定そうでした。
HASAMI PORCELAIN ( ハサミポーセリン )は、北米でかなり注目を集めている陶器シリーズです。波佐見焼の老舗商社・西海陶器と、L.Aを拠点にするデザイナー、篠本拓宏( tortoise )さんが共同で開発した、美しいテーブルウェアとなっています。

Photo : Jest Cafe
日本でも、LAからやってきた波佐見焼きということで、逆輸入的にブームになっている、このシンプルで素朴かつ上品なデザイン。
和食にも洋食にもマッチしそうな、すこし深さのあるプレートや、陶器のコーヒーメーカーなど、興味深いアイテムがずらりと並びます。
どれにしようかと、迷うほどあるデザインの種類と、長く愛用できそうな、ナチュラルなカラーの色合いも魅力的ですね。
#Love Meet Design
MOVA International ( ムーバ インターナショナル ) は、カリフォルニア・サンディエゴに本社を置く、回る地球儀 MOVA Globe を製造している会社。磁石を使った特殊な技術で、コードレス・ノーバッテリーで回る、不思議な地球儀を中心に生産しています。
≫地球儀が回る様子はこちらの動画から。
≫ MOVA International ( ムーバ インターナショナル )
以前、当サイトでも取り上げたことのある、NY ・ブルックリンがベースの照明ライト、curio も出店していました。木の枝のようなパーツを、好きなように組み立てて、オリジナルデザインを作れる照明キット、「 Splyt Light 」。
≫ curio
関連記事 : まとめて読みたい ! 今週の最新インテリア【APRIL2016/W3】
サンフランシスコの狭小アパートから生まれたアイディア。
北カリフォルニアのサクラメントから出展していた、CARLYSLE はハンドメイドの家具ブランド。
サンフランシスコの小さなアパートのために考案された、壁を傷つけずに簡単に取り付けることができるシェルフの製作が、ブランドを立ち上げるきっかけとなったそうです。
今では、ハンギングのシェルフの他にも、ラウンジチェアやランプのデザインも手がけています。
上質な木材と手仕事にこだわった、使い心地のよいアイディアあふれるデザインが特徴的です。
DODLA では、ブランドを手がける John さんがブースに立っており、笑顔で写真撮影に応じてくださいました。
≫ Carlysle Manufacturing Company
≫ @carlyslemfg
LA ベースのデザイナー、LEX LEE が手がける、フレッシュでモダンなインテリアデザイン。
クールなカラーと、トゲがロックな可愛らしいデザインの、スパイクピロー( Anti Pillow )。
VerteX Design Studio はベニスが拠点のデザイン会社。建築デザインの他にも、コンクリートを使ったシンクなどのインテリアも手がけています。
ドレープをきかせた、テーブルクロスをかけたかのようなスタンドテーブルは、布にコンクリートをカバーして作ったという、リアルな質感。
インダストリアルな工業用パーツと、ガラスというユニークなコラボレーション。
アリゾナから出展していた、DESIGN COLLABORATIONS は、Margaret Joplin さんと、Micheal Joplin さん夫婦が手がけるブランドです。
展示していたのは、このガラス製のプロダクトたち。変わった形はどうやって作っているのかと聞いてみたところ、元は工業用のボルトなどのパーツからワックスで型を取り、そこへガラスを流し込んで作っているとのこと。
どうりで、他には類を見ない独特のかたち。近くで見ると、きれいな気泡が入っていて、まるでシーガラスを見ているかのよう。
気泡が入るか入らないかは、ガラスを吹くときのタイミングで決まるんだ ! と話す、Micheal さんの熱いまなざしが印象的でした。
色とりどりのガラスは、屋外のガーデンに飾ると、サンキャッチャーのように光を透過し、キラキラと光り輝くそうです。
# DODLA GARALLY
おわりに・感想
Dwell on Design Los Angels ( ドゥエル オン デザイン ロサンゼルス )で展示されていた、北米中心の家具デザインには、すでにオンラインで話題になっているものも多く、まるで雑誌とウェブのコンテンツが、そのままひとつの会場に集まったかのような空間に、終始わくわくしてしまいました。
どのブースもフレンドリーさにあふれ、アットホームで居心地の良い展示会場に、いつまでも居つづけたくなる気持ち良さ。魅力的な人たちとの出会い・再会もふくめ、改めて、雑誌 dwell ( ドウェル )の良さや、カリフォルニアにおけるモダン建築・インテリアデザインを知る、いい機会となりました。
≫ Dwell on Design in Los Angels 2017 : 2017年7月23~25日開催予定